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「エドワード伍長が……」
フェンデリックの声の抑揚が失せ、残念そうに顔を背ける。
エルドとルティエは、顔を見合わせていたが、思わしくない内容であるのは分かる。
「エルド君。ルティエ嬢ちゃん。ここから先は軍に任せてほしい。死人が出た以上、深追いは危険だ」
「いや、身の危険を承知の上でここまで来たんです。今更引けません」
「いいか、これは遊びじゃない。スイフスブルクでの行動は確かに感謝するが、これ以上は止めた方がいい」
ソランはまるで、子供を宥める様にエルドに言い聞かせて来た。
ルティエが何か言いたげに身を前に出して来たが、エルドがその前に出た。
「俺達が今までやって来た事は決して遊びなんかじゃありません!」
「私だって、命を懸けているつもりです! 何も分からない様な人なんかに言われたくありません!」
ルティエまでなりふり構わず叫び、エルドを含めたこの場にいた全員が、拍子抜けした様な様子であった。
「えっ……私なにを言って……?」
「お嬢ちゃん……」
軍人……大人たちがルティエを圧迫するかの如く、見下ろしている。
そんな大人たちの都合で、親の代以上から続くその理不尽を、ルティエや自分達が受けるのを、もう何度も目の当たりにしている。
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