1/11
前へ
/39ページ
次へ

不甲斐ない俺を慰めるため、凜子は俺をすぐには帰さなかった。 市街地から程近いファミレス。 俺が甘党だという事を覚えていた凜子は、店に入るなりフルーツが沢山盛られたパフェを注文してくれた。 「気を遣わなくてもいいのに・・・。」 こんな自分が情けなくて、できるならすぐに帰宅してふて寝でもしてやりたい気分だ。 だけど凜子の気遣いを無下にする事もできず、俺は小一時間、彼女のティータイムに付き合う事となった。 「気を遣ったんじゃないよ! 私がケーキを食べたかっただけ。」 チーズケーキを頬張りながら笑顔を見せる凜子。 ネチネチと不満を引き摺らない潔さのお陰で、俺は彼女と関係を持っても“友達”でいられた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加