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昂太の電話番号を呼び出しダイヤル発信する。 今日仕事のない彼は、もしかしたら外出していて電話に出られないかもしれない。 それはそれで好都合。 とにかく、俺が昂太に電話を掛けたという証拠が残っていればいいのだから。 ―――プルルルルル・・・ 受話口から聞こえるコール音。 その音が聞こえたと同時に、俺のすぐ近くで別の機械音が鳴った。 ―――ピリリリリリ・・・ 同じ喫煙コーナーの奥の席。 窓際のここからもよく見える席で、俺の携帯電話から聞こえるコール音と共鳴する着信音が聞こえる。 ―――「はい、もしもし?」 ステレオで聞こえた昂太の声。 その声は受話口と、同じ店内の数十メートル先から聞こえた。
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