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息を切らして自宅のあるマンションまで戻る。
うちは夫婦共働きで子供は僕ひとり。
急いで家に帰っても待ってる人なんていない。
それでも――。
去年移り住んだ念願の高級マンションは今。
僕に最高の喜びを与えてくれる場所になっている。
エレベーターホールに入る前
僕は何事もないふりをして息を整える。
いつもどおり――。
集合ポストの方から
ハイヒールの小気味良い足音が聞こえてきた。
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