落花流水

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それは無意識のうちに形成された冷徹な言葉。 彼に爪を立てたまま喉からそんな言葉だけが飛び出た。 彼は何も言わず、私の手をとり爪を首から離す。 そうして、今まで見せたこともないような瞳で私を見た。 網膜を突き破り、その奧の奧にある心を見つめられたような気がして、つと目を背けた。 「いいよ」
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