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それから何があったのかあまり記憶が定かではない。
事情聴取を受け、担任にも呼ばれ、私は意志のない瞳で語った。
数日して、彼の病棟を訪ねると、体が幾本もの管で繋れている彼の姿があった。
彼のご両親は私を一目見ると、一瞬にして殺気立った表情を浮かべた。が、後から入ってきた担任を見ると、頭を何度か下げて退室した。
担任は彼に何事か告げると、同じく退室していく。
閑静な二人きりの部屋。
呼吸器を通して伝わる彼の息が、生きていることを証明していて、それだけで心が絞められる思いがした。
彼は穏やかな目で私を見つめていた。
「死に損ねた」
簡単に死ぬとか言って、照れ臭そうに彼は笑う。
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