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「寂しい寂しいって、隣に居るのに言われ続けても面倒みてきてさ、ぽっと出のばーちゃんに全部持ってかれた俺の気持ち、わかる?」
「へ……?」
「俺はよ、お前のよくわからんその孤独感がちょっとでもおさまりゃいいと思って一緒に居たし、友達や女の子も紹介してきた。……全員駄目だったけ、ど」
ぴたり、と彰が総ての動きを止めた。そうして頭を抱え、わしわしと色素の薄い自身の髪をかき回している。「んあああああ……!」などと、言葉にならない奇声を発しながら。
「彰ちゃん、怖い」
「うっせえ俺は今自分の愚かさに脳天かち割れそうなんだ黙ってろ」
「ハイ」
ぴしゃりと言い放つ彰に逆らっていい思いをしたことは一度もない。その経験から、汰一は首を傾げながらも大人しくソファーの上に正座をし、口を噤んだ。
視線で彰の動きを追いかけていると、部屋の中央から端にいったりきたりしていたかと思えばポケットから新しい飴を取り出し、ぺりぺりと器用にフィルムを剥がしていく。いつものように舌の上でころころ転がし続け、漸く落ち着いてきたのか口から棒が突き出たまま「ふう」と大きく息をついた。
「いらいらおさまった?」
「……ま、な」
「どうしたの、って聞いても良いの」
「……良くはないけど、このままもどうかと思うし、言うわ。俺はやきもち焼いたんだ、あのばーさんに」
予想外過ぎる彰の言葉に、正座していた身体をずざざざざっと移動させ、上から下まで彼をまじまじと見つめ、言った。
「彰、俺に恋してんの?」と。
瞬間、鉛のような拳骨が汰一の頭に振ってきた。
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