うんざりする存在

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 ――そうだ、と声に出していた。  彦ブーのとこにでも行こう。  アイツ女もいねえし、部屋はオレ一人増えても多分平気だ。エロDVDとかそっち系の本も大量にある。  すっかりその気になってきて、傍に脱ぎ捨てたまんまのカモフラ柄のパンツを取り上げかけた時。  ――カサリ  部屋の隅から何か聞こえた。  ……?  つけっぱなしのテレビは静かなまんまだ。ゲーム終わってからチャンネル変えてねえから、画面は真っ暗。光量が足んねえ。  多分、ゴキブリだろ。  はあと息をついてパンツを取ると、いきなり黒いものが腕を伝って上ってきた。 「うわっ」  左手でその黒いのを払うと、畳に落ちかけたそいつは飛んでオレの顔にくっつく。
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