第十章 不安定

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昼間、2号館と4号館のメンバーがいた時は、いつもと変わらない様子だった。 だがその皆がいなくなると、今まで堪えていた不安感が一気に溢れ出したのか、自分の事を責め始め、鬱々と落ち込んでいったのだ。 「…………杉並」 遼平が亜矢の前で悲しげな表情を浮かべる。 他のメンバーも全員この場にいるが、誰一人声をかけられない。 『………………』 3号館に戻ってすぐの頃は、皆もそれぞれの言葉で慰めたり励ましたりと、亜矢を元気付けようとしていた。 が、結果はこの通り。 いくら声をかけても聞く耳を持たず、ただひたすらに自分の事を責め続けるのだった。 そしてそんな亜矢の変化の無さを見て。 一人、また一人と声をかけるのを諦めていき、最終的に、皆同じ部屋に居はするものの、声をかけ続ける者は遼平だけとなっていた。
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