はじまり

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「で、ここにこれを入れた結果、こうなったというわけで・・・・・・」 3時限目。 つまらない教師の声を右から左へ聞き流し、俺は窓へ視線をやる。 見えたのは工夫の一つもない在り来たりな校門。 内側、つまり学校内の敷地に入ったところには看板が立て掛けられていた。 よく見ると『ようこそ!安町(やすまち)小学校へ!!』と書いてある。 大方、職員の誰かが仕舞うのを忘れたんだろう。 入学式から2か月も経っているのにそのままとは酷い。 仕事しろよ、教師。 それにしても高校生にもなってようこそ!とは子供っぽいな。 これを来年も再来年も使い回すのだから、大事にすればいいのに。 「おい、十朱!聞いているのか!?」 「はい、聞いてます」 窓の外を眺めていると、つまらない授業をしていた教師に叱られた。 いつもなら授業中に注意されるというへまを犯したりはしないのだが、今日は少し油断していたらしい。 しかも、よりにもよって熱血漢の面倒な教師に注意されたのは不運すぎてうんざりする。 「よし、じゃあこの問題を解いてみろ。さっきまで説明してたんだからわかるよな?」 そう言って黒板を叩く。 さっきの俺の返事が気に食わなかったらしく、時々顔を引き攣らせていた。 額には青筋が浮かんでる気がする。 (この教師、無駄にネチネチくるから嫌なんだよな~) ちなみに、さっき説明した熱血漢というのは、教師の自称である。 どこが熱血漢なのか、真面目に話し合ってみたいところだ。
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