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締切の月末を過ぎて、それでも回答できなかった子たちと話をして、アンケートの回答集めを進めている。
結果はもちろん「制裁の実行に賛成する」にほとんどの親衛隊員が投票した。
ごく一部は反対し、また他の一部は決められないと答えた。
そしてついさっき、最後の1人が「賛成」だと苦しそうな表情で伝えにきた。
「決まったな」
猿に忠告をした後、制裁をする。
日時と場所、メンバーを決めてルールの周知をしなければ。
そうしたら、あのクソいまいましい猿を痛めつけられる。
親衛隊の子ひとりひとりの意思は尊重したい。もちろんそれは嘘じゃない。
が、俺自身はあのアンケートで言えば迷いなく賛成を選ぶ。というか選んだ。
「菜穂斗、おかえり」
「ただいまぁ〜」
授業の合間の休み時間に出た教室に戻ってきたら拓真が声をかけてくる。
「回答、そろった?」
「そろった」
「それはよかった」
拓真も、相当ストレスがたまってるらしいからな。いち早く賛成と回答した子たちと同じような表情を浮かべてる。
「あ、なっちゃん。どこいってたんだ?」
「秘密〜」
「えー、俺にそんな隠し事するのはよくないよ。まさか帝のとこ?」
「違うよぉ」
「ふーん。なっちゃんがそう言うならそういうことにしてあげるけど、帝にちゃんと言っといてやるから」
相変わらず思い込み激しいなこいつ。
「ねぇ、ひかちゃん来週水曜の放課後ってヒマかなぁ?」
「えっ! 暇暇、超ひま! デート? 何する? どこ行く?」
「んー、場所決まったらまた言うねぇ」
「わかった!」
制裁の誘いとも知らずに随分と呑気なことで。
忠告は今週中にどこかでするとしよう。
親衛隊会議の開催を知らせるメールを送って、スマホを閉じた。
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