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-3月14日 PM 17:40
「…おそいな」
放課後…
沈みかけるオレンジ色の夕日が学校の屋上を照らしている。
金網の向こう側から照らされる寂しげな夕日の光は、焦る気持ちを落ち着かせてくれているが、この緊張は解してくれない。
ボクはそんな緊張と期待が入り混じった複雑な気持ちを抑えながら呼び出した人物を静かに待っていた。
『ごめんね、待たせちゃった?』
ふと、屋上の出入り口である扉がガチャっと開くと同時に呼び出した人物がボクの目の前に現れた。
「…い、いえ!全然!全然待ってないですよ!」
ボクは唐突に現れたその人物を見て、気持ちは焦りながらも笑顔を作った。
都合も考えずに呼び出しといて30分くらい待ったなんて…さすがに言えないな。
「なにか用事があったんですか?」
『うぅん。友達と話してたら忘れちゃってた』
「そ、そうですか」
きっと話が盛り上がっちゃったんだ。
ボクが呼び出したことを忘れるくらいに…
『で、どうしたのかな?こんなところに呼び出して』
今までのこの道のりは長かった。
悩んで悩んでを繰り返してやっとここまでたどり着いたんだ。
今日は絶対に先輩に認めて貰うんだ!
ボクは鼻で深くゆっくりと息を吸い込み、小さくゆっくりと口から息を吐いて決心をした。
「あ、あの先ぱ…
『あ、ちょっと待って』
いよいよ気持ちを伝えようとしたときに、不意に先輩に止められてしまった。
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