ー旅という栞

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…………。  「瀬戸ぉ…まだか…?」  「いや、オレにキレないで下さいよ…」 一方、桜木ノ高校正門前ではクラス、学年別に分けられたバスが次々と出発し始めていた。 その中で、2ーAクラスのバスは未だに出発出来ないでいる。  『暁先生、そろそろ出発しないと都合上の時間が…』  「すいません…あと30秒だけ待って下さい…」  『は、はぃ…!』 とうとう最後の一台になってしまった2ーAのバスの運転手は、担任教師である鬼の形相の暁に恐る恐る事情を話した。  「瀬戸ぉ…あの馬鹿は今どこだ…?」  「し、知らねーッス…電話も繋がんないですし…」 暁の『激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームオーラ』が2ーAのバス一面を覆った。 生徒は誰も口を開かず、ただただその様子をジッとしながら見守っていた。  『暁先生…申し訳ないのですが…』 そして暁は運転手の申し訳なさそうな声に反応し、募り募ったなにかを口からゆっくりと深く吐き出した。  「…分かりました。行きましょう」  「せ、先生…未来は…」  「安心しろ瀬戸。俺のクラスに『茅葉未来』という生徒など居なかった」  「………」 文秋は暁のその言葉になにも言わずに頷いた。
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