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11時20分
俺はこっそりと盗んだ…、
じゃなくて拝借した鍵を使って屋上の南京錠を解いた。
「今日も出ないのはさすがにまずいかな…。」
この時限は、数学。
察しの通りその勉強がただ苦手なわけだけど、
他にも理由があるのだ。
ちょうど半年くらい前だったと思う。
中学1年の冬に、
当時同じクラスにいた
“佐倉めぐみ”というエクボのかわいい女の子に告白をして残念な結果に終わった。
何故そこから数学を嫌う結末に繋がるか…、
問題はこっからだ。
佐倉にフラレた理由は、
数学教師“松原”に惚れているからだという。
言うまでもなく、
それが俺とこの授業を受ける気持ちを引き離した最大のポイント。
とか考えて、
サボる事に理由なんて付けてちゃあダサいよなぁ…。
屋上のど真ん中。
公園に設置されてある…、
じゃなくて落ちていたベンチを拾って備え付けたそこへ横になり、
空を見上げて目を閉じる。
キーンコーン、
カァーンコーン…。
授業の終わりを伝えるチャイムが校内へ鳴り響く。
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