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8時20分…。
教室に入り、席に座る。
俺より先に、
クラスの奴らはほとんど集まっていた。
「あれ?お前そのばんそうこうどうしたの?
なんかあったの?」
一時間目の授業が始まる前に、
すでに隣の席にいる陽介が話しかけてきた。
幼なじみである鳴海(なるみ)陽介は、
色んな事に敏感で、
すぐにこれにも気づいて聞いてくる。
「昨日…、ちょっとな!」
「ぉおっ!?なんだなんだ?
ケンカしたんか!?
それともズッコケたんかぁ!?」
正直めんどくさい所もある訳だけど…。
「うっさいな!
別にいいだろ何でも!」
「昨日、高校生とやりあったんだろ?」
俺と陽介の間に割って入って話しかけてきたのは、
杉谷 琢磨(すぎたに たくま)だった。
コイツはちょこちょこ出てきては、
自分と相手との距離を詰めない変な奴で、
誰とも仲良くなるわけでもなくいる不思議で変な奴。
ただ、
物知りな事だけはみんな分かってる。
「なんで杉谷がコイツの事知ってんだよ?」
陽介が前に出る。
彼はとても熱い男だ。
それとは逆に、
冷めた面して杉谷が言葉を返す。
「もうこれ結構なウワサんなってんぜ?
あの稲妻 勇馬(いなつま ゆうま)が、
“またまた懲りずに”ケンカして勝ったってさ!」
イラっとくる事を、
実にサラッと言ってくれる。
「あ?何が言いてぇんだよ…!」
そう言って、
今度は俺が席から立って前に出る。
「気をつけろって事!
出る杭は打たれるって言うべ?
だから用心しなきゃ、な?」
杉谷は態度をコロコロ変える。
俺の事をバカにしてんのか、
心配してんのか…。
「…あぁ、忠告どーもです。」
それから間もなく授業が始まった。
それにしても…、
どうして杉谷は俺が高校生とやりあった事を、
…知っていたんだ?
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