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「…健太君大丈夫?」
震える健太の前に、零士が跪き囁いた。
「…痛いよ…でも泣いたらまた、叩かれちゃう…」
健太は痛みに震える中、滅多に喋らない零士の声を聞き、驚いている様子だ。
「…今日で叩かれるの最後だから」
「えっ?なんで?」
「…約束ノートに書いたから」
零士は丸めて手に握り締めている、自分の約束ノートを健太に渡した。
健太は不思議に思いながら、零士の約束ノートを広げた。
約束ノートには様々な事が書いてある。
『たべものをのこしません』
『ようこせんせいのいうことはまもります』
そして最後の文を見て、健太は問い掛けた。
「なんて書いてあるの?」
ノートには漢字で書いてあった為、健太には読めなかったのだ。
「…洋子先生を殺す」
俯いて喋る零士の表情を健太は読み取る事が出来なかった。
しかし、その幼い顔には笑みがこぼれている。
「…ころす?…ころすって何?」
幼い健太は、殺すという行為の意味を知らなかった。
「…夜になればわかるよ…健太君手伝ってね」
顔を上げた、出会ってから初めて見せる零士の笑顔を見て、健太は痛みなど忘れドキドキとした。
きっと楽しい事だ。
健太はそう思った。
「うん!僕もやる!」
健太は元気良く笑顔で答えた。
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