いつもの夢

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黙って子供達の様子を見ていた洋子は、真っ白な壁に設置されている電気のスイッチをオフにしながら呟いた。 「消灯」 子供達は洋子の声を聞き、雨戸を閉めているため完全に暗闇になった部屋の中で、急いで布団に潜り込んだ。 布団の中で目をギュッと瞑っている健太は耳を澄ませる。 そして洋子のものと思われる足音が部屋から遠ざかって行った。 完全に足音が消えた瞬間、健太は安堵の溜め息を付く。 ギュッと瞑っていた目の力を緩め、悲しい現実を忘れるように大好きなヒーローの事を考えた。 悪を倒す正義のヒーロー。 健太は大きくなったら自分もヒーローになりたいと思っている。 いやなれると信じている。
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