約束ノート

いつもの夢

肩で息をし、呼吸を整えると、健太はベッドから降り、洗面台へと向かった。

蛇口を捻り、健太は勢い良く顔を洗い始める。

そして鏡に写る、水に塗れた自分の顔をまじまじと見詰めた。

健太は五歳の頃に比べ、顔の堀が深くなった。

それは当然だろう。

健太は来月の十三日で二十六歳になる。

顔をタオルで拭いた健太は、部屋に戻り、ベッドに腰掛け煙草をふかした。

悪夢にうなされたせいか、シーツは滅茶苦茶になっている。

そのぐちゃぐちゃのシーツの上に体を横たえ、煙を肺まで吸い込んだ。

体中に煙草が染み込んで行く。

そして溜息と共に、それをゆっくりと吐き出す。

健太は薄れ行く煙を見つめ、昔住んでいた孤児院の事を思い出した。