第八章

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蓮は斎藤が留守の間、真面目に仕事をこなしていた。 「立花さん、相手してくださいよぉ」 沖田は蓮に剣の相手をしろとせがむ。 が、蓮には巡察がある。 「巡察があるから後にしてくれ」 しまいには蓮の袂を持って抗議する始末だ。 「沖田さん、離れてください。オレは副長と斎藤組長に怒られたくない」 「いいじゃないですかそんなの。そんなに私が嫌ですか?」 泣きそうな顔をするので仕方なく蓮は巡察を自分たちだけでしてくれと言って隊士たちを行かせた。 (一、悪い) 「っ、わかった」 少々苛立ちの含んだ声で言うと沖田はすぐに顔を輝かせた。 こうして無理やり蓮は巡察をサボらされて沖田の相手をする。 蓮の構えは斎藤を思い出される。 構え自体はそんなに似ていないのだが。 居合い、平突き・・・。蓮の使う技は斎藤を思わせる技が多いのだ。 さらに立会いでも長い時間戦える。 だから沖田は蓮の時間を割いては相手を頼んでいた。 「なんか一君みたい」 蓮は踏み込んで居合いを放つ。 が、それは防がれた。
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