序章

3/5
前へ
/177ページ
次へ
少年は怯えていた。 火は広範囲に渡って燃え続け、飛んでくる火の粉が少年の黒髪に当たる。 短い髪と浅く焼けた肌、黒の着流し。 唇は小さく震えていた。 そしてー 頬に一筋の涙がこぼれた。 「蓮、逃げろ!!」 不意に呼ばれた。それが少年ー蓮の意識を現実に呼び戻す。 「父さん!!」 蓮は父親の背後に迫る凶刃に気付いていた。 二人は走った。 その時。 ーザシュッ 背後から肉を断つ音がした。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加