序章

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慌てて振り返る。 そこにいたのは、変わり果てた父の姿。 自分を庇って亡くなったのだ。 遺体の周りは血の海と化し、辺りには血の匂いが漂う。 「とう、さん・・・」 呆然と蓮は呼びかける。 しかし返事は返ってこなかった。 「う、嘘だぁ・・・嘘だぁぁぁぁッ!!」 蓮は涙を零した。 「・・・れ、蓮。す、すまな・・・ガハッ」 父さんの口元は血で汚れていた。 「蓮。わた、して・・・おきたい・・・物が・・・ある」 震える手で差し出されたのは、一振りの太刀。つややかな黒の鞘は傷ひとつなく、今まで大切に保管されていたことが伺える。 「これ・・・は?」 「お、お前に・・・わた・・・せ・・・ と・・・言われた・・・」
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