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なぜそうまでして、戦争を止めさせようとしたのか、全く予想出来ない。
そもそもこの戦争自体、この世界のストーリー上で仕向けられた事だと言うのに。
映像が途切れ、画面は先程とは変貌した外の光景を映し出した。
静寂。五月蝿かった戦場の音は鳴り止み、入り乱れていた艦隊の動きが止まる。
「ア、アテナ様!!南方面に残っていた我々の船との交信が途絶しました!!」
私がこれからどう対応しようかと思案している最中に飛び込んできた報告。
「交信が途絶えた?機械の故障か?
エネルギー反応はどうなっている?」
メインブリッジの一部の映像画面に、MAPと共に南方面に展開していた、味方艦の光点を映し出した。
「これは!…何故我々の船が消えていく!!
…まさか騙されたのか?」
どうした事か、南方面のMAPに映し出された、エネルギー反応を元にした味方艦の光点が、どんどん消えていくのだ。
つまり撃沈しているという事。
しかも、あまりにも早い。
「現状報告!!同じく南方面に展開している、ブラックソウル、深淵と連絡を取れ!」
私が命令を出している間も、ユグドラシル所属艦の反応が消えていく。
おかしい。いくら不意を突かれたからとはいえ、シールドの解除はしていないはず。
こんなに早く艦を沈められるはずがない。
一体向こうで何が起こっている?
セカンドライフの仕業なのか?
しかし、こちらは静寂そのものだ。
どうもおかしい。
私は舌打ちをし、訳の分からぬ現状に苛立ちを隠せなかった。
敵側に人質が居る中で見誤った判断はできない…。
しかし、事態は一刻を争う。腑に落ちないが、こちらも黙っている訳にはいかぬ。
「全艦に伝達せよ!!戦闘解除は前言撤回!セカンドライフ艦隊と距離を取りつつ微速後退!シールドを前方に展開せよ!」
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