1172人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「あの…さくらさん。」
「さくらとお呼びください。
あなたは客人ですから」
とビシッとした声でいわれた。
逆らうことなど許されない雰囲気だった。
しかも、美加は客人だという。
どういうことだろうと不可思議に思うが
たずねるなと言われた以上、美加からは尋ねられない。
「名は?」
短く、さくらは美加に問う。
「美加…といいます」
「美加さん、なぜここに?」
美加は、自分でもわからずに首を振る。
無言でさくらが美加の手を拭き、顔を洗えと桶を差し出した。
生温かいお湯で顔を洗うと不思議とほっとした。
最初のコメントを投稿しよう!