迷い姫

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「あの…さくらさん。」 「さくらとお呼びください。 あなたは客人ですから」 とビシッとした声でいわれた。 逆らうことなど許されない雰囲気だった。 しかも、美加は客人だという。 どういうことだろうと不可思議に思うが たずねるなと言われた以上、美加からは尋ねられない。 「名は?」 短く、さくらは美加に問う。 「美加…といいます」 「美加さん、なぜここに?」 美加は、自分でもわからずに首を振る。 無言でさくらが美加の手を拭き、顔を洗えと桶を差し出した。 生温かいお湯で顔を洗うと不思議とほっとした。
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