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空気がとまったような緊張が広間を覆う。
蘭丸が口火を切った。
「我が妹姫はうれしさのあまり、
声がでない模様ゆえ、蘭丸めが盃を頂戴しとうございます。」
「よかろう。」
機嫌もそのままに、蘭丸に盃を信長公が差し出す。
美加はほっと、胸をなでおろした。
また、突然に信長公がむくっと立ち上がる。
「皆の者、あとは楽しめ。
おつねのところにいくと伝えよ。」
”おつねーーー
知らないーーー
史実に残っていない側女の一人だろうーーー”
美加は自分の胸がうずくように痛いことを知った。
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