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それから、みつきが経って、正月の準備に城が追われている。
あれから、度々酒宴に呼ばれるものの、
お酒を召し上がり酒宴の最後には
いつも違う側室の方の名前を呼ばれる。
城内の噂も耳に入るようになった。
人々は、森家の美加姫は
お館様の飼い鳥のようだと。
見て楽しんでおるが、夜の相手には不足なんだろうとーーー
美加はいくら酒を注ぐ役目をいただいても、
美加と会話をするわけでもなく、
ただ隣に侍らせて酒宴のあとは側室の方々のもとへ渡られるーーー
でも、美加にはわからなかった。
自分が信長公の夜のお伴をする役目を与えられたいと思っているのかーーー
“いつも違う女性の名前を聞くと、胸が苦しくなる。
ーーー今のままでいい。
ときどき、酒宴に呼んでもらい、横顔が見ることができれば。”
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