新年を迎えた姫

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この思いつきの言動が歴史にどう影響するかはわからない。 愛する人の偉業を灰にしたくない。 無に戻したくない。 美加はようやく自分の心に向かい合おうとしていた。 一方、信長公は、庭に放ってある忍から、 二人のやりとりの一部始終を 美加が戻ってくる前に聞いた。 信長公も嫡男・信忠に 一抹の不安を抱えていた。 それがなんなのか、考えあぐねていた。 ”予は生き残るために、 予に逆らう弟・信行を騙し討ちにした。 それが、信行を溺愛する、実母・土田御前に一層嫌われることを承知の上で。 戦国の世にあって、肉親、兄弟の屍を越えてでも、進まねばならぬこともある。 しかし、信忠は情に厚いーーー。”
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