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美加は信長公の手をとると、静かに立ち上がりそのまま手を引かれながら、どんどへと向かった。
繋いだ手から、半歩先を歩く信長公の熱い気が流れ込んでくる錯覚になり、美加は自分から言い出したことなのに、ふいに手を引っ込めようとしてしまった。
その美加の手を一瞬ぎゅっと強く握り、引っ込めることを信長公が許さなかった。
「そなたが言い出したことであろう。
しかし、城内で手をひいたやっているのに顔も染めぬのであれば、そなたの心変わりを疑ってやろうと思ったがな。」
握った手をそのままに、美加を振り返った信長公の顔は、先日見た五十の顔ではなく青年の顔つきであった。
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