琵琶湖を越える姫

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「もちもちしていて、食べごたえがあり、新鮮でみずみずしい。 毎回違った味を味わわせてくれる。 何度食べても、飽きることも、満足することもできぬ…。 そういったところであろうか。」 信長公の言葉に、質問した公家も、恥ずかしさのあまり、一層顔を赤めている。 「いやはや…。 そのような稀少な寵姫をお持ちとは、信長殿が持たぬ宝はもう天下にはないのではござりませぬか」 あちこちで、相槌がうたれ、宝という言葉から、信長公が所有する名器と呼ばれる茶道具へと話題がうつり、円満なうちに宴は終焉した。
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