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信長公が自室へと下がった後も、まだ飲み続ける公家衆の会話が美加の耳にも入った。
「田舎者かと蔑んでいたら、いやはや、なかなかの粋な方。
あの若い寵姫がまとっていた打ち掛けも、田舎趣味ではなく、京でもあのような先進的な柄はないだろう。
やはり、天下は信長でおさまるのか。」
酔いのせいで小声のつもりがこちらまで聞こえてしまう。
天下人と信長公を賞しながらも、田舎者と蔑んでいるのが公家の本音。
美加は信長公が公家を嫌う理由がわかる気がする。
しかし、今夜、織田信長の評判は変わった。
噂好きの京の街中を明日中には今夜の出来事が伝わり、椿の天ぷらが流行するだろう。
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