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安土城ならば、寝所の前まで辿り着くなど不可能である。
もう、若い側室として宴席に置く以外必要のない者かと自分を思うと悲しみが増す。
「松千代、予が呼んだのだ。
入れてやれ。」
襖の奥から低い愛しい男性の声がする。
松千代がそっと開けた襖から、美加は舞いあがる足取りで信長公の寝所へと飛び込んだ。
信長公は少し横になられて、眠られていたのか、いつもの引き締まった顔より緩やかな顔になっていた。
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