こんぺいとうと姫

3/13
前へ
/33ページ
次へ
「美加にございます。」 安土城内に設けられた六畳ほどの茶室に美加は入った。 中には牛一があぐらをかき、手には何か色とりどりの輝くお菓子を持っていた。 「今日は姫に、これを馳走しようと思い、呼び出したのだ。」 正面に座した美加の手にしろいお菓子を渡した。 「これは、こんぺいとうにございますか?」 「よう、知っておるな。 甘くてうまいぞ。 疲れがとれる。」 口にほおばると甘さが広がる。 「おいしい…。 本当に疲れがとれます。」 「クックッ、やっぱり疲れたのか?」 「え?」 「そうであろうと思う。 松千代も高野山から京まで歩かせるなど姫に酷なことをさせる。」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

914人が本棚に入れています
本棚に追加