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いくら、信長公との思い出を何度も反芻しながら、
思い出の中で生きているといっても陽がくれてもあけても、薄暗い部屋で、日がな一日を過ごす日々は、美加の心を段々と弱いものにしていった。
ここに閉じ込められた日から何日が経ち、今日が何月何日かさえもよくはわからない。
言いつけられたのだろう。
声をかけられることもなく、戸があれられ、質素な食事のみが届けられる。
顔も見えない。
さくらではない気もする。
だれか他の者に美加の見張りを任せたのだろう。
忍かもしれない。
ここから逃がさないように。
だれにも接触できないように。
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