涙目で懇願する姫

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抱きしめられた美加は、 「いつも、いつも、美加はお館様の手のひらで転がされているようで、嫌でございます。」 とすねてみせた。 「阿呆なことを。 いつも予はそなたをよくさせようと、必死ではないか。」 「そのような恥ずかしいことばかりをおっしゃって・・・。」 「今宵もよくしてやろう。」 とゆっくりと味わうように口づけを始めた。 美加が夢中になり、啼きはじめると、 信長公は美加の背を向けさせた。 「い、いや・・・この格好はおやめください・・・」 美加が後ろを振り返り、涙目で懇願すると 、 「美加が一番大声を出す格好だからか。 ここは織田の庵。 好きに声をだしてよいぞ。 寺では予も控えておった。」 「でも、でも、この狭い庵にはさくらも・・・松千代様も・・・嫌・・・」 「何を今更・・・。」 信長公の意地悪な声に美加も余裕がなくなり、必死に信長公の動きについていくだけであった。
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