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歳の頃は30代・・・後半といったところか。
この寒いのにボロボロの薄布を纏っただけの体はとても痩せていて、眼だけがギョロリとこちらを睨んでいる。
どうやら栄養が足りていないようだ。
血走ったその眼からは憎しみや憤りといったものが見て取れる。
「どうして君はこの財布を?」
ボクの言葉に男はカッと眼を見開いた。
「クソっ!ガキのくせに大金持ち歩いているのが悪いんだ!」
いやいや、それはボクの側の事情であって、ボクの質問には答えていない。
理解力が低いのか、質問に答える気がないのか。
「ボクの質問に素直に答えてくれたら、警察は呼ばないでおいてあげるよ。」
「・・・」
とはいえこの騒ぎだ。
いくらこの街の警察が怠慢だとはいえ、じきに誰かしらやってくるだろう。
警察以外にも、いろいろと。
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