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アサンブレに着く頃には時計の針は22時を回っていた。
基本的にうちの店は20時がラストオーダーで21時閉店。
それから片付けと翌日の準備をする。
それらを済ませてどこかにご飯を食べに行こうとなると22時は回ってしまう。
「いらっしゃいませ」
店の扉を開けると、すぐに雨音さんの声がする。
私の後に三奈木もついて来ている。
「こんばんは」
「レイさん、いらっしゃい。お仕事帰りですか?」
「うん。コイツが一度ここに来てみたいって言うから」
「コイツってお前なぁ…口悪すぎるだろ」
コイツ呼ばわりした私に呆れたように三奈木が言う。
「…仲が良いんですね」
「あ、仕事仲間なんだけど同期入社で…」
「こちらへどうぞ」
雨音さんがニッコリと笑って席へ案内してくれる。
私の説明を遮るように言われた。
「・・・・」
あ、すごい違和感。
雨音さんのニッコリ笑顔。
確かに素敵な笑顔だとは思うんだけど…
「どーした?」
「え?ああ、何でもない」
急に黙り込んだ私を気にして三奈木が声を掛けてきた。
「そうか?」
「うん」
訝しがる三奈木は放っておいて、今日はワインと料理を堪能しよう!と思った。
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