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「レイちゃんね。レイちゃんはこーいうお店、初めて?」
「は、はぁ…」
この年になって”ちゃん”付けされて少し怯む。
別に差別や偏見を持ってるわけじゃないけど、今まで生きてきて遭遇した事のない人種に戸惑いもある。
「ここだけの話なんだけどねー、美麗さんはオカマじゃないんだよ(笑)」
カオはいつの間にか頼んでいたファジーネーブルを飲みながら私に言う。
私の前には生ビール。
カオが注文したに違いない。
「…そうなの?」
とりあえずノドがカラカラになってきたのでビールで潤そう…
「あ、私フライングしちゃってた!乾杯しよっか!」
グラスを持ち上げた私を見てカオがいたずらっぽく笑って言う。
このテーブルには今、ママと美麗さんと私とカオしかいない。
「もうちょっと時間が経てば人も増えるんだけどね。今日は人の入りが悪いから呼び込みに出てるのよ」
ママが野太い声で説明してくれる。
「え、呼び込みとかって怒られないですか?」
「呼び込みと悟られないように呼び込むのよ~。カオちゃんのお友達との出会いに乾杯☆」
ママが強引に音頭を取って乾杯となる。
「あ…ソウデスカ」
カチン、とグラスが重なる音を聞きながらどう反応していいのか困る。
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