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乾杯してグラスの半分くらいビールを飲み下す。
「あー…潤う」
「レイ、オッサンみたいだよ(笑)」
「そうよ~もっとお上品にしないと折角の美人さんが台無しよー?」
ママの野太い声のオネェ言葉にも少しずつ慣れて来たかも。
「いや、お世辞は結構ですので…ははは」
お世辞でも”美人”と言われるのはどうにも…
っていうか、そもそも美人じゃないし。
十人並のありきたりな顔だ。
「お世辞と分かっいても、そこはお礼を言うべき所じゃない?」
ふふ、と妖艶な笑みを湛えながら美麗さんが言う。
本物の美人にそう言われると何も言えなくなるんですけど。
「あ、そう言えばさっきカオが美麗さんはオカマじゃないって言ってたのはどーいう事ですか?」
私から話題を逸らせるためにさっきカオが言いかけていた事を掘り返す。
「んもー、カオちゃんたら!ココだけの話ねってこの間言ったのに口が軽いんだから~」
「あはは!ごめんねママ。でも、今日はレイを美麗さんに会わせたいと思ったから連れて来たんだもの」
ママとカオが楽しそうにじゃれ合う。
それほど、この店はカオにとってホーム的な存在なのかな?
「カオって、ママさんと仲良いの?」
「え?ああ、うん。仲良いよ!それに、この店のお姉さま方のネイルをさせてもらってるの」
「ネイル?」
そこで改めて、ママの爪を見ると綺麗にデコられていた。
「ネイリストの駆け出しの頃にママと知り合って、お店のみんなの爪かりて練習させてもらってたんだー」
続けて、美麗さんの爪を見る。
「…あれ、美麗さんはネイルしてないんですか?」
ネイルはしていないけど、細くて長いきれいな指と手入れされた綺麗な爪。
「ああ、私は本業があるから。してみたいけど、ちょっと無理かな」
ふふ、と笑う。
「本業?」
「そう。こう見えて、昼間は美容師をしています」
「美容師!?」
美容師しててなんで夜はオカマバーで女装して働いてるの!?
と、言う考えが顔に出ていたようで。
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