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俺は1人で夏祭り会場にいても寂しいし、周りは女の子が浴衣を来たカップルだらけで、腹が立つので家に帰ろうとした。
駅に向かって歩いていると道の真ん中でしゃがみこんでいる浴衣姿の女の子がいた。
俺はその女の子に近寄り、右肩を叩いた。
「どうしたんだ?」
「…草履の花輪が切れて…」
「どれ、見せて!!」
俺は女の子の下駄を見た。……たしかに、花輪がちぎれていた。
「ちょっと、ここで、待ってろ!!」
そう言うと、俺は近くの屋台に行った。
「すいませ~ん!!ハサミ貸してもらえますか?」
俺は屋台の店主にハサミを貸してもらうと、女の子のもとへ向かった。
「俺が直してやるよ!!」
俺は自分の半袖のTシャツの先の部分をハサミで切り取った。
「ほれ!下駄を貸してみ!!」
きゅきゅ
俺は衣服の切れ端で女の子の下駄の花輪を直した。
「これで、大丈夫!!」
俺は女の子に下駄を渡した。
「あ……ありがとう」
女の子は俺が直した下駄を履くと俺にお礼を言った。
「……いいよ、べつに……」
俺は照れ臭かった。
「あの……お礼をさせて下さい」
「いいよ!……俺急ぐから!!じゃ」
そう言うと、俺はハサミを屋台で借りた店主に返し、駅に向かって歩いた。
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