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その日。死神が人間界に降りてきて私からすべてを奪い去っていった
その日もいつもと変わらず私はのんびり仕事から帰宅した。家に帰れば晴美がいる、そう思うだけで足取りが軽くなる気がした
しかし、その日。いつも玄関を開けてただいまと言えばお帰りと言ってくれる、その声が聞こえなかった
私は多少不安になったが、もう寝たのだと思い靴を脱ぎリビングへと歩いた
いつもと変わらない、筈だった―――――――――
リビングに来た私はいつもとは違う明らかな異様さを感じた。空き巣、その言葉が頭によぎる。それほどまでに乱雑にリビングは散らかっていた
引き出しは開かれ、中のものは散らばり、手の付けようがないほど荒れていた
この時の私は晴美がこのようなことをやったという可能性など微塵も感じていなかった。むしろ私は晴美の身を心配していた
もし空き巣だったならば、晴美は無事だろうか・・・と
私は取られたものを確認もせず、警察に通報すらせず、ただ無言で晴美の寝ている、妻の寝ている二階の寝室へと走った
ドタドタと大きな音を立てながら私は階段を大急ぎで登った。歳のせいか足がほつれそうになっても私は構わず走った
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