歴女と邂逅

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だが年は若くとも口調と同じくまるで全てを知り尽くした老婆の様に落ち着ついた雰囲気を持っており、 着ている和服には白い生地にピンクの桜の花と金の刺繍が入った枝、 水色の川には錦鯉と黒い鯉が泳いでいる半面渋い赤の帯 着物の事はよくわからないが細工が細かく高い事は確かであろう。 長い真っすぐな黒髪はまさに烏の濡れ翼であり、銀河の暗黒の様に奥深い ぱっつんな前髪の下にある整っていながら色濃い眉毛と切れ長だが大きな眼は外国人が思いを馳せるアジアンビューティー、 大和撫子そのものだ。 まあ要するに日本人形みたいな見た目って事だが髪が伸びる様な独特の妖しさも残しつつ痩せた顔で 少女漫画の日処出の天子の厩戸王子こと聖徳太子や 吉祥天女の叶小夜子 女優の栗山千明に似ていると思う。 「私は列に並んだ時に既に頼んだで、 切ない恋愛小説でも読んで待つとするか。」 まさかドラッグ、エンコー、レイプの三拍子が揃った携帯小説か!? いやこの渋さでそれはなない、 ジョジョ奇妙な冒険の作者が表紙描いて話題になった伊豆の踊子あたりか? しかしそのどれでもない見た事ない小説だった。
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