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ブウウゥー―ンとドイツ製らしい滑らかなエンジン音も、
空回りするタイヤの音も普段聞き慣れたはずなのに今は不安を駆り立てる。
「一体何で・・・・ああぁ!!」
バックミラーに写ったもの、
それは投げつけられた組員の血でイタリアのトマト投げ祭後の様に、
真っ赤で凄惨な姿と化した組事務所ではなく。
その投げつけられた鉄砲玉の男がベンツ後ろを持ち上げ後輪駆動の車輪を空回りさせてる姿だった!!
「うおぉりゃあぁあ!!」
「べぇンつぅうう!!!」
ドゥウゴガシイャア!!!!
鉄砲玉の男はあろうことかベンツをそのままひっくりかえしてしまった!!
なんという怪力!
ありえない破壊力!!
しかし組長はなんとか、
ひっくり返ったベンツ車内から血でミートソースの様に真っ赤に染まった顔を突き出した。
「しょ・・正月組の鉄砲玉は化け物か!?
雇われた額の三倍払うから大晦日組で働らかねえか!?
うちは年越し蕎麦のシノギでリッチなんだぜ?」
「う?ん・・・・・・
どすこ――い!!」
鉄砲玉の男は宙を舞ったかと思うと裏返ったベンツの上に飛び乗り、
ボンネットと挟まれた組長はトマトサンドがごとく潰された。
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