殺し屋

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「でも大晦日組若頭を殺った時のおまえも凄かったな!」 まるでアクション映画の主人公に憧れる中学生の様にキラキラした目で俺を褒めてくれる兄貴。 俺に極道のイロハを教えてくれた暴力団の先輩だが、 皮肉にもカタギのはずの相撲部屋の兄弟子達とは反対に優しい。 「正月組若頭はトカレフより威力低い分当たりやすいマカロフで撃って来たが、 おめえの餅みてえな腹肉が弾丸防いで 逆に相撲技のてっぽうでブチ殺してやったよな! まさに持田、 おまえは正月組の鏡餅だぜ!!」 「あざっす兄貴・・・・」 そう言うと俺は事務所のドアを開けて外に出た 「あん?これから祝勝会しようと思ったのに元気ねえな?」 「馬鹿おまえ知らねえのか、 持田は元力士で親方をてっぽうで殺しちまって以来行き場をなくして、 正月組に流れ着いたんだよ。」 若頭のフォローが耳に痛かった、 そうだ俺は親方を殺してしまった技てっぽうで再び人を殺めてしまったのだ。 残された親方の家族に謝罪の手紙を何度も書いた、 親方の自宅に行って泣きながら土下座したが許してくれるはずはなかった。 その上俺は自分が生きるために対立ヤクザたちを殺してしまう最低の人間だ。
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