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バロンは森の動物達を餌付けし終わり、
チャロナラン村に戻る頃には、
辺りは暗くなっていた。
皆帰宅した様で主に住宅地に明かりが灯っている。
その光を見るとバロンは『一つ一つに人生があるのだな』と、
城から見た領地の夜景に感傷的になったのを思い出した。
『故郷のジェロ・グデ王国民も元気にやっているだろうか?』
しかしそのセンチメンタルは、
すぐに遮られた。
忘れる事の出来ない恐怖が蘇る地響き。
木々を砕きながら現れる姿。
魔女ランダがチャロナラン村にも現れたのだ。
『ヒャハハハ!人を殺すのも良いけど、
家を壊すのも楽しいからねえ!』
『待て!やめろ!!』
『また現れたねバロン!!今日は夜になったばかりだから、
闘う時間はたっぷりだよ!
あんたを倒してじっくり壊せるさ!』
二機の巨大な機械神の会話に、
家で家族団欒を過ごしていた人々も気付き始めた。
「なんだ!あの化物女は!?」
「あの化物が私達を襲ったランダだ!!」
『へぇあの時の親子の村のペットになったのかい?
身も心も畜生になり果てたみたいだねえ!』
『だまれ!貴様には村に手出しはさせん!!!』
住宅地があるためビームは使えない、
バロンは四肢と人工筋肉がある体のバネを生かして、
寺院から跳躍してチャロナラン村を飛び越え、
ランダの前に立ち塞がった。
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