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可愛い女の子からの抱擁なら嬉しいけど、何が悲しくて三十歳くらいの男に抱きつかれなきゃならんのだ。
「もう、照れ屋さんなんだから~」
ヤクはクスクスと笑っている。
ヤクとはこの絵の市場で知り合った。本名は知らないけど、周りから“ヤク”って呼ばれてるからヤクなんたらなんだと思う。
「あのなぁ…ん?雨?」
頬に冷たい感触が…。
空を見上げると、どんよりとした雲が頭上に広がっていた。
そしてポツポツと雨が降り始めた。
「ゼルちゃん、濡れないように何所かに入った方が良いんじゃない?」
「うん、そうだね」
傘、持って来れば良かった…。
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