ある日曜日の出来事

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「すみませ~ん。傘貸して下さい」  ガラガラと戸を開けると、四十代の女性がいた。でも開けた瞬間その人がソラちゃんに見えた。  俺、末期かも…。 「あら、お帰り」  …お帰りは違うだろ?  いや、もしかしてこの店流の挨拶かも知れない。 「……あら!やっだ~、息子と勘違いしちゃったわ~」 バシッバシッ  叩くなよ、痛いから。  それに普通、息子と間違えるかよ…。  あ、でも…いや、少し違うかも知れないが、先生を間違えて“お母さん”って呼んでしまった奴がいたな…。俺には絶対にない間違えだけど。 「ん?ちょっと君、ビショビショじゃない」  できれば叩く前に気づいて欲しかった。
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