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部屋の戸を掴んで振り向いた。
「ふんっ…相変わらずだな。年下のくせに生意気」
アカイはニヤリと笑いながら俺を見下ろしている。
アカイは昔から年上だからか知らないが、俺よりも背が大きい。
「そりゃど~も」
玄関でトンットンと靴を履いた。
「褒めてねぇよ。まぁいいわ、また来いよ。荷物あんがとよ」
アカイは煙草を銜えた。
シュッとライターで火を付けると、俺の方を見た。
「…気が向いたらな。じゃ」
わざと意地悪く答え、ポチに跨った。
「…」
アカイは煙草をふかしながら、無言で手を振っている。
俺も手を振り返す。
アイツがわざわざ“聞かないんだな?”と言う場合は大体自慢話ばかりだ。
だから聞かない。
だって羨ましくなるから。
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