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不安定に宙に浮いた手で
「ごめん。でも――」
僕は頭をかいた。
芦屋にもさんざん言われたけど
彼女を見ているとつい
「――やめなよ、愛人なんて」
余計な事を言ってしまう。
「なんで君が……そんな事言えるわけ?」
彼女は長い髪をかきあげると
光ばかり強くて
でも儚い目で僕を睨んだ。
「だっておねえさん、いつ会っても泣いてんじゃん――!」
痛々しくて
見ていられなくて
僕は彼女を抱きしめた。
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