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「あの……ここ放送室ですよね、放送部じゃないんですか?」
「ああ、うちの学校、放送部はないの」
「え、だって友達のお姉さんはこの学校で放送部だったって……」
「それ、ずいぶん前の話じゃないかな。今の学校放送は基本、放送委員が担当しているし、学校のホームページの部活一覧にも載ってないと思うけど」
そ、そんな……。
確かに公立高校の部活は、力のある指導者が転勤したとたん、急に衰えることがあると聞いたことがある。
「どうする、入部取り消す?」
愕然としている僕に先輩が気の毒そうに聞いてくる。
あ、優しい人だ。
どうしよう。
声優? 確かアニメとか洋画の声を当てる仕事だったよな。
話す技術が学べるなら、とりあえずこの部活でもいいか。
何よりも、この先輩と一緒なら、どんな部でも……。
「いえ、やっぱり入部します。よろしくお願いします。先輩」
「え、いいの?」
「はい、大丈夫です!」
「わかった。じゃ、も1回。ようこそ声優部に」
先輩は聞き惚れるような可愛い声と見惚れるほどの笑顔で僕を歓迎してくれた。
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