オジ童話『 赤紅くん 』

6/10
前へ
/453ページ
次へ
   「ちょっと、気分が悪くてネ  ェ」  「え?大丈夫?熱はあるの?  布団かぶってないで頭出して  よ」   赤紅くんが布団を引っ張る  と、オジサマの頭には大きな  耳が生えていました。  「わぁ!大きなお耳!それに  とっても……とっても派手な  ピンク色をしているだね……」  「それはね、赤紅くん。お前  の声を良く聞き取るためさ」  「へぇぇ……牧村さん、指に  タコが出来てるね」  「それはね、赤紅くん。お前  が練習しろってうるさいから、  ベースを頑張ってるショーコ  だよ」  「へぇぇぇぇ。牧村さん……  牧村さんはどこにいるの?」  「それはね、赤紅くん。恥ず  かしい格好で縛っておいたか  ら、今頃クローゼットの中で、  泣いてると思うよ」  「何してんだよっ!!」
/453ページ

最初のコメントを投稿しよう!

764人が本棚に入れています
本棚に追加