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恋をするのは始めてではな
い。相手が同性だから違うの
かもしれない。純平は考えて
みるが、答えは出ない。
既に深い間柄だというのに、
どうしてこうも意識してしま
うのか……純平は胸の高鳴り
に耐えきれず息を吐いた。
「……大人しいね。具合でも
悪いのかい?」
そうは見えないので牧村は
探るように尋ねた。純平の頬
が赤いことには敢えて触れは
しない。
「ぜ、ぜぜん」
「?」
咄嗟に誤魔化そうとして噛
んだ。そのせいで余計に顔が
赤くなる。
「いや、その、全然って」
「フフッ」
牧村は可愛いなぁと好き好
きオーラ全開で微笑み、純平
はそのオーラを感じとって濡
れたアスファルトを見た。
ただでさえ意識しているの
だから、大好きな甘い微笑み
なんてものを見てしまったら、
この場で悶絶してしまう自信
があったからだ。
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